※本記事はNexlyインターン生による執筆記事です。学生ライターの等身大の視点で、現地でのリアルな体験をお届けします!
【旅メモ】トラントンゴに関する基本情報まとめ
トラントンゴ温泉(Grutas Tolantongo)とは?
メキシコ・イダルゴ州カルドナルにある秘境リゾート。 山あいの峡谷に広がる天然温泉で、洞窟(Gruta)、エメラルドブルーの川(Río)、そして斜面に並ぶ段々プール(Pozas)が名物です。
営業時間・基本情報
🕰️営業時間:年中無休。主なアトラクションは8:00〜17:00、温泉プールや川は21:00まで
💧水温:36〜38℃前後(ぬる湯)
⛰️気候:標高1,280mにあるためやや涼しめ
料金(MXN) | 料金(USD換算) | 備考 | |
---|---|---|---|
入場料 | 230 MXN | 約18 USD | 洞窟・川・温泉プール・吊り橋など全エリア込み |
駐車場 | 50 MXN | 約4 USD | 1日料金 |
ロッカー | 150 MXN | 約12 USD | デポジット込み |
ジップライン | 300 MXN | 約24 USD | オプション |
🧭アクセス方法
🚗車/ツアー:メキシコシティから約200km(3.5〜4時間)。
日帰りツアーは 1,120〜2,240 MXN(89〜178 USD) が目安
🚌公共交通:CDMX北バスターミナル → Ixmiquilpan(250〜550 MXN/20〜44 USD)
Ixmiquilpanからマイクロバスで 70 MXN(6 USD)合計:約5時間弱
⛰️気候:標高1,280mにあるためやや涼しめ
注意点
- 足場が滑りやすいため、滑りにくい靴があると安心
- 園内は現金のみ対応(ATMなし)
- 防水ケースやウォーターシューズがあると便利
※本記事に記載の情報は2025年8月現在のものです。 最新情報は 公式サイトをご確認ください。
夜中の3時、ピピピピ!ピピピピ!っとアラームの音。
脳は起きていないが、習慣の力は恐ろしく、無意識下で洗面所に向かう。
その後ツアー会社のハイエースに乗った。
普段はうるさい街中もやけに静かで、俺は服についているフードで顔を隠し、目を瞑る。
オレンジ色の街灯によってうっすらと色気付く街中をハイエースは静かに走行していった。
いざ秘境トラントンゴの温泉へ
もう少しで到着する。 小高い山々がくねくねと曲がる道路の狭間で見え隠れする。と同時に眠気で靄がかかった頭は景色が見える度に冴え、心は一層軽くなる。

ついに、到着!相変わらずスペイン語はよくわからないが、駐車場から爆音で響く音の割れたスペイン語はきっと到着した我々を祝福してくれているのだろう。そう俺は今、洞窟と自然の温泉が組み合わさった温泉リゾート地、トラントンゴにいるのだ。途中でお金が足りないというハプニングがあったにも関わらず、笑顔でお金を貸してくれたガイドのお姉さんに感謝しつつ、300ペソ(約2400円)でウォーターシューズとスマホの防水ケースを購入する。実に割高だ。すぐにウォーターシューズに履き替え、ガイドの背中を追いかけながら、焦る気持ちを押し殺し最初のステージ「パライソ」へと向かう。
究極の眺めを堪能するパライソエリアの温泉プ-ル

最初に現れたのは「Paraíso(パライソ)」だった。 天国、という名に嘘はない。石灰質の岩が自然に削られてできた湯船が、山の斜面に棚田のように連なっている。日本の小春日和のような太陽をいっぱいに抱きしめたお湯は、透き通った青色に輝いていた。そろりと足を入れると、体感35℃ほどのぬるま湯が、じんわりと肌の境界線を溶かしていく。久しぶりに噛みしめる、ゆっくりと流れる時間。湯船の縁に腰かけると、濡れて滑らかな石灰岩の感触が心地いい。

だが、高原の風は容赦なかった。 湯から上がった濡れた肌から、ごっそりと体温が奪われる。水着が冷たい膜となって肌にまとわりつき、思わず身震いした。どれだけ時間が経ったのか。 誰もいない湯船でぼーっとしていた俺は、あてもなく散策を始めた。細長い橋に差し掛かり、何気なく渡って中腹まで来た瞬間、視界を遮っていた木々が途切れ、絶景が目に飛び込んできた。見渡す限りの緑の山肌と、眼下に広がるは無数の緑。その美しさに、風の冷たさも、ここに来るまでの小さなトラブルも、すべてが思考から消し飛んでいった。

転落の危機!グルタスの洞窟へ移動
我々はパライソエリアを満喫後、車に乗り込む。 そして、ガイドの女性が次のステージ、「Gruta(グルタ)」について説明を始めた。グルタス洞窟は温泉が湧き出す中核エリアで、蒸気と高湿度に包まれ、ロープを頼りに進む区間もあるとのことだ。ひやりとした空気をまとう木々を抜けると、その下にはエメラルドブルーに煌めく川が見えた。そしてその先に、目的の洞窟が口を開けていた。苔むした巨大な岩が壁に突き刺さったような、異様な光景。人々は、まるで吸い込まれるようにその暗闇へと向かっていく。

入口に近づくにつれ、ゴウ、ゴウと腹に響く音が空気を震わせ、耳を圧した。一歩踏み込むと、バラバラと冷たい水が体を打ちつける。ごった返す人を掻き分け、ようやく洞窟の中に入ると、そこは人の熱気と温泉の蒸気で蒸し返す、巨大な釜のような空間だった。目の前では、巨大な蛇口のような穴から大量の温泉が滝のように流れ落ちている。

あっけに取られていると、ガイドが深刻な顔で俺たちを集めた。 「ここから先、私たちは真っ暗な洞窟の奥へ向かうわ」彼女が指さす先には、幅1.5メートルほどの、まるで巨人の食道のような水路が待ち構えていた。大量の温泉が、轟音だけを残して暗闇の中へ消えていく。「流れが速くて深い場所を渡らなければならないの。唯一の頼りは、壁に張られたこのロープだけ」近づくにつれ、その音と勢いは増していく。俺は左手にスマホを握りしめたまま、明かりを確保したつもりになっていた。右腕一本で全体重を支え、流れに足を取られないよう、さっき「割高だ」と毒づいたウォーターシューズのゴム底を岩に食い込ませる。一歩。水が膝を攫う。 二歩。ロープが命綱になる。 三歩目で、足裏のゴムが岩の隙間を捉え、一瞬だけ体勢が安定した。そのときだった。 パンパンに張り詰めていた右腕が、悲鳴を上げる。 一瞬の出来事だ。 お湯で濡れたロープが、俺の意思とは無関係に指の間を滑り抜けていく。 世界が、斜めに傾いたと思えば、轟音と微かに光るライトの灯りがシャットアウトした。
コウモリ飛び交う真っ暗闇の洞窟
誰かの手に触れた瞬間、張り詰めた緊張は一気にほぐれ、むしろ水中に快感を感じた気がした。ムキムキのタトゥーを入れたおじさんの腕に引き上げられた俺は、彼の肩を借りて、なんとか洞窟の奥にある「巨人の胃袋」へとたどり着いた。そこは少し水深が浅く、ガイドのライトに驚いたコウモリが鍾乳洞の周りを飛び交っている。突然訪れた静寂と安息が、恐怖で熱くなった頭をじんわりと冷やしていく。

トラントンゴにあったレストランで休憩
洞窟から生還すると、全身の力が抜けて膝が笑っていた。 レストランで朝食をとっていると、同じツアーの綺麗な中国人女性が、俺を見てにこりと笑った。英語で「すごかったね」「怖かったね」と、たどたどしく洞窟での思い出を語り合う。「人に頼らず生きていく」という俺の凝り固まった信念は、見知らぬ人から差し伸ばられたいくつもの親切によって、少しずつ融解していくのを感じていた。
エメラルドブル-に輝くグルタスの川湯へ
そして、最後のステージ、「Río(リオ)」と呼ばれる川へ。

予想通りではあったが、この水がエメラルドブルーに輝いて見えたのは、どうやら鉱物を含んでいるからだ。天然の岩壁にサボテンがまばらに生え、洞窟エリアとは違う温かな陽気が体に染み渡る。流れはやや強めだったが、もう恐れはない。水に抗う体から、ふっと力を抜くと、不思議なことが起きた。あれほど荒々しく見えた流れが、すっと俺の体を運びやすいように受け入れ、穏やかに下流へと導いてくれる。なんだ、そういうことか。
周りには観光客がいて少し賑やかだったが、温泉の川に寝そべって、耳を水の中に受けた瞬間、コーコーと心地よい音だけが波紋のように耳の中に広がっていく。その自然の奏でる無料の音楽を聴きながら、俺はほんの少しオレンジ色に着色された空という名の絵画を眺める。過密スケジュールをひけらかしていた頃の自分は立ち止まって空を眺める単純な時間に幸せを見出すことはできなかっただろう。
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